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FOOD
2020/7/23

ヒリトゥラでは「ふわっ」「もちっ」が大切。お嫁に行くための条件とは?

ヒリトゥラ村の入口。ヒリトゥラはかたつむりの村と呼ばれています。
写真提供: Michy Watanabe

とうもろこしの起源はメキシコにあり。現在メキシコでは年間約2500万トンものとうもろこし生産量を誇っています。
世界遺産にも指定されているメキシコ料理。とうもろこしはそのアイデンティティーを世界へ示すために最も重要なシンボルであり、美味しく、低カロリー、低飽和脂肪、コレステロールゼロ、そして食物繊維をたくさん含むとても体に良い食材です。昔からメキシコはとうもろこしを主食とし、メキシコのいたるところに暮らす先住民族たちの中でも高い価値のあるものとして重宝されています。
例えばスペイン人がアメリカ大陸へ上陸し「黄金の富はどこにある?」と先住民に尋ねた時、案内されたのはなんとも広大なとうもろこし畑!!だったという面白い歴史的エピソードが残されています。

写真提供: Michy Watanabe

先住民族アステカの神話の中でも、センテオトル(とうもろこしの神)が大地に宿り、とうもろこしを作ったと書かれています。また、メキシコシティーの東隣のトラスカラ州のTlaxcalaとは「とうもろこしのトルティーヤの地」という意味で1万年以上も前からとうもろこしを食していたことを示す考古学的な証拠が残っています。

とうもろこしはメキシコにとって、とても重要なものなのです。

「ニクスタマル」という言葉を聞いたことがありますか? 乾燥トウモロコシの殻粒を石灰と水と一緒に下処理し「マサ」にする工程を指す言葉です。
タコス、タマーレス、チラキレス、ゴルディタなど様々な料理に用いられる古代より受け継がれた遺産で、メキシコ料理に欠かせない手法の1つです。

1 乾燥とうもろこしの穀粒を剥がし水に浸す。
2 石灰を加えて茹でる。
3 柔らかくなったとうもろこしを挽く。
*マサが完成!
4 マサの水分量を見極めながらちょうどいい硬さにこねる。
5 トルティーヤプレスで丸く平らにプレスする
6 土製又は鉄製のコマル(加熱用調理器具)で焼く

世界遺産の「おいしさ」を追及するには手間を惜しんではいけないのです。
こんなに手間をかけてトルティーヤを作るところは、大都市のレストラン、屋台、家庭では少ないですが、小さな市町村には今でも多くの家庭にかまどが残っていて、焼きたてのトルティーヤを堪能することができます。市販品のトルティーヤでは味わえない「味」を味わうことができるのです。

写真提供: Michy Watanabe
写真提供: Michy Watanabe

このトルティーヤの焼き方、ヒリトゥラでは女の子たちがお母さんやおばあちゃんから教わるのですが、「ふわっ」と膨らむように焼けるようになると、「もうお嫁に行けるね!」と周りの人が言うのが定番なんですよ。そしてそうやって良い加減に焼けたトルティーヤは「もちっ」としていて最高に美味しいのです!

写真提供: Michy Watanabe

時間はかかりますが、トルティーヤの出来上がりを話でもしながらゆっくり待つ。それはとてもスローで贅沢な楽しい待ち時間なのです。

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