ポインセチア「Nochebuena」はメキシコの代表花!
Ciencia UNAM
メキシコの太平洋岸に自生する野生の花であるポインセチアは、メキシコでは「ノチェ・ブエナ」 (Noche Buena/クリスマスイヴの意味)と呼ばれている。ノチェ・ブエナは、メキシコ国立自治大学(UNAM)の調査によると、世界中で一番売れている鉢花だそうだ。最もよく売れる時期はもちろんクリスマスまでの6週間であるが、そこで販売するために3月~11月までの8か月間もの期間をかけて栽培されている。しかし、今年(2017年)は9月の地震の影響でノチェ・ブエナの栽培地方では花の栽培数が減り、販売にも大きな損失があった。CDMXの政府は損失を受けた栽培者を集め、「La Feria de la Nochebuena」(ノチェ・ブエナフェア)を開催した。そこで Adela Juárez SandovalとJosé Aparicioという栽培者がインタビューを受けた。2人は9月の地震で被災者となり、Cuauhtemoc団の避難所へ移動しなければならなかったため、ノチェ・ブエナの栽培が出来なかった。2人は30年間ソチミルコ区のSan Gregorio Atlapulco (サン・グレゴリー・アトラプルコ) でノチェ・ブエナの販売を行っていた。例年は1ヶ月間販売するが今年は3日間だけの販売分しか用意できなかったそうだ。AdelaさんとJoseさんは他に食品も販売しているが、この時期にノチェ・ブエナの販売ができないことは非常に大きな痛手となり困っているそうだ。
ノチェ・ブエナフェア
Google Maps
・プレヒスパニックとノチェ・ブエナ
ノチェ・ブエナはメキシコ原産の花である。現在世界中でクリスマスの装飾として使われているが、プレヒスパニック世界において花はただの装飾的なイメージでだけではなく、たくさんの意味があった。一番大切な意味としては、神への尊敬と奉納のための象徴とされていたということである。神のために彼らは花と植物をたくさん栽培していたと言われている。テオティワカン文明における一説としては、花は「Tlalocan de Tepantitla」(タロカン・デ・テパントラ)という楽園の象徴であり、「Tetrapétala」という石花の植木鉢や彫刻も遺っている。
プレヒスパニックの神々の中にXochipilli(ショチピリ)という神がいた。花のようにきれいな姿であったので「花の王子」と呼ばれていた。ナワトル語でXochiは「花」、Pilliは「王子」の意味がある。だが、Xochipilliはただの「花の王子」ではなく、魂・歌舞・幸運・健康・愛・音楽を司るアステカ文明の神として崇められている。19世紀半ばに16世紀のXochipilliの像が発見された。その像にはたくさんのハーブ(herb)や薬草花の彫刻が施されており、その中にはノチェ・ブエナもあった。このことからノチェ・ブエナが漢方薬として使われていた花であることが分かっている。現在はあまり使われていないが、ノチェ・ブエナの花は女性の不快感を取り除くこと、抗炎症や皮膚アレルギーにも効果のある漢方薬として使われていたと言われている。
Arqueologia Mexicana
・日本ではポインセチアと呼ばれているが
メキシコの歴史によると、最初のアメリカの大使J.R. Poinsett(ジョエル・ロバーツ・ポインセット)が1828年にメキシコを旅行中、Taxco(タクスコ)を訪れた際ノチェ・ブエナを見てとても関心を持ち、同年アメリカのフィラデルフィアへ送り自分の名前をつけたとされている。そのため、英語圏の国では「ポインセチア」と呼ばれるようになった。その後、1934年にヨーロッパでノチェ・ブエナの栽培が始まり広まっていった。メキシコでのノチェ・ブエナの販売収入は毎年平均しておよそ7億ペソである。2012年には約26億ペソの収入を得た。一番販売数の高い国はアメリカであり、推定値は全体の70%である。
ノチェ・ブエナの販売が元通りになるように1日も早いメキシコ地震からの復興を願っている。